わが国は、少子化・高齢化による負のスパイラル、すなわち「ジャパンシンドローム」と呼ばれる社会を迎えるなか、小売業から製造業あるいは農業・工業などの各分野において外国人を抜きに語ることができないほど国際化の流れは大きなものとなっています。国際化が進めばそれなりに問題が増えるのは当然ではありますが、外国人研修生が引き起こす犯罪や事件、EPAに基づく外国人介護看護師においては非漢字圏出身者の国家試験合格率の低さなど、外国人受け入れにあたっての問題は少なくありません。各方面・各分野で活発な議論、審議、答申、ルール作りがなされていますが、異口同音に言われることは、受け入れ外国人に対する日本語教育の重要性です。少なくとも、外国人研修生の犯罪や事件には外国人とのコミュニケーション不足は事件の要因ともなっています。このような国際化社会のなか、専ら外国人に日本語教育を行ってきた日本語学校が果たしうる役割も増大しているはずです。しかしながら、日本語学校の多くは、学校法人ではなく商法法人が設置する組織が多く、また小規模であることから、日本語学校の持つ本来の力、すなわち外国人に日本語を教える能力を充分に発揮できないでいます。
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戦後、国としては日本語および日本文化の海外普及に慎重な姿勢を保ち、留学生受け入れについての組織的な取り組みが行われることは甚だ少なかったと言わざるを得ません。しかし、昭和58年に当時の中曽根康弘首相が、「留学生10万人計画」を発表し、20世紀末までに留学生を10万人にすることを国際公約したことから、日本の留学生受入れ政策は大きな転機を迎えました。その後、留学生数の伸びが鈍化した平成9年には、文部大臣の要請により留学生政策懇談会が発足しています。同懇談会は、日本語学校の貢献を認め、その第一次報告書の中で、留学生増加には日本語学校の動向が大きな影響を及ぼすと述べました。
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その後「留学生10万人構想」は達成され、平成20年には「留学生30万人構想」となって、2020年までに30万人の留学生を受け入れることを目指しています。大学等の留学生の多くは日本語学校からの進学であることからも、日本語学校の存在意義はより高まっているはずです。しかしながら現実は、留学生の在留資格についても、「就学生」という分類がなくなり「留学生」に統一されたにもかかわらず、日本語学校の留学生は統計的にも仕分けられたままであり、日本語学校の設置認定業務を行っていた財団法人日本語教育振興協会においても、日本語教育という本来的かつ根本的な議論がなされないまま「事業仕分け」により骨抜きにされ、日本語学校を取り巻く環境はますます混迷を深めています。
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日本語学校は外国人学生誘致の尖兵として世界の隅々まで駆け回り、日本留学の道をひらき、日本留学志望者を掘り起こしてきました。しかしながら、その環境は未整備な部分が多く、扱う問題も「国家」的な問題を多くはらんでおり多岐にわたっています。また、日本語学校自体の多くは学校法人ではなく、株式会社などの商業法人による運営であり、経済的基盤は大きいものではありません。また、日本語学校の卒業生は半数以上が日本の大学・専門学校へ進学しており、「留学生10万人計画」の基礎となりましたが、卒業後そのまま日本での就労を希望する学生も増加しています。外国人の日本国内での就労については、入国管理法によって規制されていますが、大学等高等教育を受けていれば就労は可能となり、このような留学生の需要に応えるためにも、日本語学校の組織的な活動が待たれています。
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私たちは、中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合を設立し、単独では参入の困難な各種団体、自治体の日本語研修・教育の共同受注、日本語学校が一堂に会した留学フェア開催などの大規模な広報活動および学生募集活動支援、組合員学校が行う留学生に対する福利厚生等の共同事業を実施することにより、組合員の経済的基盤の向上を目指し、社会的地位の向上を図ることとしたものです。