日本語学校協同組合の補償事業について

当組合の補償事業は、保険業法、中小企業等協同組合法の改正をうけ、また日本語学校学生共済会の共済事業を受け継ぐかたちで形成されました。日本語学校学生共済会は保険業法の改正にともない平成20年4月より新規受付を停止し、平成21年3月には廃業届けを財務省に届出る予定ですが、その留学生補償制度の成り立ちには既に20年以上の歳月が流れています。以下、日本語学校学生共済会の成り立ち、留学生補償制度の沿革をご紹介します。

日本語学校という存在がまだ社会的に広くは認知されていなかった昭和58年、新宿日本語学校を中心に一部の日本語学校から日本語・語学留学生(就学生)に対する日本国内での補償制度を作り上げようという気運が高まりました。当時は日本語学校という機関自体が教育行政からはずれており、学生は半年間のビザを更新しながら1年〜1年半の教育課程を終え、大学等の高等教育機関に進学して初めて「留学生」と呼ばれ、ビザも1年間のいわゆる留学ビザを取得できました。日本語学校在籍の間のビザは就学ビザとか文化ビザとよばれ、半年更新でしたが、今現在日本語語学留学生も広く活用している国民健康保険も、当時は1年以上の滞在を学校が証明しなければ、加入を認められませんでした。また、認められても外国人に不慣れであった市区町村の国民健康保険の取り扱い上の問題から、例えば一時帰国後の再入国時に手続きを怠ったりしたために、補償を受けられない学生も多くいました。そんな中、学校が管理できる補償制度はないかということになったのです。

 基本的に国民健康保険はケガや病気の時の病院に支払う治療費用の70%を補償するというのが補償制度の根幹であり、死亡や賠償責任などは当然補償されません。ケガや病気の治療費用以外も海外からの留学生にとっては当然のことながら必要で、さまざまな補償制度、保険制度の中で一番ぴったりなのが、日本人が海外に旅行・留学などの際に加入する海外旅行傷害保険。すなわち海外旅行傷害保険の逆利用です。 ところが、当時日本語学校自体も特殊な存在であり、損害率などの問題もあって各保険会社は二の足を踏み、なかなか制度として確立することができませんでしたが、住友海上火災保険官公営業部が一番先に理解を示し、昭和61年、留学生補償制度として販売することができました。

昭和63年4月12日 朝日新聞朝刊記事の写真 昭和63年4月12日 朝日新聞朝刊記事
(クリックすると拡大写真を見ることができます。)

 留学生保険発足当時はまだ日本語学校の認可組織はなかったので、文化庁の資料をもとに日本語教育の専門出版社・(株)凡人社の協力も得て独自に販売活動を展開していましたが、昭和63年(社)外国人就学生受入機関協議会(外就協)発足とともにその協力を得て、その加盟団体・機関に保険販売を推進しました。 留学生保険の内容は、海外旅行傷害保険と同じで、病気・ケガの場合の死亡保険・治療費用保険、損害賠償責任保険、長期の療養になった場合や死亡・行方不明などの時にその学生の本国から両親などの肉親が救援のため日本にかけつける費用を担保する救援者費用保険から成り立っています。

 国民健康保険が費用の70%、つまり3割が自己負担になるのに対し、留学生保険は100%の補償で自己負担はありませんが、支払限度があるので、留学生保険だけだと高額になった場合に問題が残ります。また国民健康保険と留学生保険両方に加入している場合(現在多くの学生は両方加入している)、3割の自己負担部分が留学生保険から補償されることになります。この治療費用の補償は、(財)国際教育協会の医療補助(自己負担分の80%補償)と同じです。日本の自動車保険の制度なぞらえれば、国民健康保険が強制(自賠責)保険で留学生保険が任意保険と言えます。自動車保険も強制保険だけでは対人賠償の少額損害はカバーできますが、対物賠償や車両損害、高額賠償はカバーされません。国民健康保険の加入だけでも基本的な補償は問題ありませんが、死亡時や高額な治療の場合の自己負担、あるいは賠償事故などを考えると、留学生保険の加入は日本語学校・学生にとって必須であると言えます。

 ところが、平成13年9月11日のアメリカでテロ事件が発生、世界中を震撼させましたが、保険のマーケットにも大きな影響を及ぼしました。日本では大成火災が破綻し、他の保険会社も大小それぞれ何らかの支払いがあり、改めて保険リスクの大きさを感じさせるものでした。そのため翌年には、東京海上を皮切りに各社が海外旅行傷害保険の料率アップを発表、このままでは就学生たちは7〜8万円を支払わなければならなくなってしまうことになってしまいます。いろいろな保険会社に日本語学校・就学生だけの特別な料率を出してくれるよう打診をしましたが、どこも色よい返事はなく、もはや共済制度しかないと平成14年に留学生保険制度(留学生保険)の共済化の準備に入りました。いくつかの再共済の会社をあたるなか、ロイズオブロンドンが早い次期に再共済引き受けを決定してくれ、各日本語学校をはじめ日本語教科書出版社・凡人社もいろいろなかたちで協力をしてくれたのが幸いし、平成15年3月、日本語学校学生共済会は誕生いたしました。